初動の早さ

人は本気であればあるほどに覚悟を持ちますがその覚悟や本気を確かめるのに「初動の早さ」というものがあります。何でもいいと思ったらすぐにやる人は覚悟が決まっていて本気であると言えます。しかしいつまでも悩んでばかりで始めようとしない人は本気と覚悟が決まっていないとも言えます。これを少し整理してみたいと思います。

そもそも覚悟とは何か、私の定義では迷わないということです。

例えば「やる」と決めていることがあるのなら、どうしようかと迷う選択肢はありません。もちろんやるとは決めているものの、その障害の大きさを感じれば気分はよくなく、やりたくないなと強く思ったり、周りから聞きた助言を好き勝手に解釈しやらなくていい言い訳ばかりや、何か他に楽にできる方法はないかと逃げようとする感情は誰でも等しく出てくるものです。

しかしいつもそれを繰り返して結局は「先延ばし」していたらタイミングが全て悪くなり、「時間切れで仕方がない」という最高の言い訳を手にするだけで何の結果も変わりません。つまり初動の早さの反対は先延ばしということです。

よく覚悟を決めろとか、本気を出せとかいう人もいますが、それよりも「いいと思ったことはすぐにやる」習慣をつけた方がいいように思います。よくないと思ったらすぐやめるというのも同じことです。

不思議なことですが、心というものは気付きを持ちます。それは場面場面で内省したり反省する中で、「もっとこうありたい」や「これをやろう」といった行動に移りたいと心が感じます。その時、同時に「とはいえ」が出てきてやると大変だとか、やれなかったとき評価が下がるとか、感情が出てきて邪魔をし出すものです。そのうち心の方がしぼんできたり、心が枯れてきてやる気が起きなくなっていきます。時間だけが過ぎ去ってしまい、前に踏み出す一歩が出て来ません。

何でもそうですがこの「初動」というのは大切なのです。言い換えるのなら「すぐにやる」というリズムのことです。決めたらすぐにやるというのを行動力と言い、結局はやれるかやれないかではなく「やるかやらないか」という選択肢しかないのが現実の世界から正対し続けていくしかありません。

やってどうなるのかはやってみた後に必ず明白になります。やる前からどうなるのかを考えていても明白になることはまずありません。そして何のためにやるのかを決めている人はチャンスを逃しません。そのチャンスは、「今此処全て」です。

いいと思ったことをどんどん増やしている人は、好循環のサイクルを掴みます。またよくないと思っていることをすぐにやめる人もまた好循環の運気を呼び込みます。逆はすぐにやらない、いつまでも悪いと思う習慣をやめないですがこれが悪循環を呼び込み運気を下げる方法かもしれません。

迷わないということの効能は、人生においてとても大切なことのように思います。それは全身全霊のチカラが無理なく自然に発揮されるからです。余計なことを考えないで決めたことを遣り切る人には、覚悟と本気のチカラが加味されいつも追い風が吹いてきます。そしてたとえ向かい風のときにもまた、自分と向き合うチャンスに換えます。

覚悟力は迷わないチカラを持てるということです。初動の早さというものはリズム感ですが、それは迷う暇を自分に与えない克己の工夫ということでしょう。

「なんでもいいと思ったらすぐにやる、よくないと思ったらすぐにやめる。」ただこれだけの実践ですが、迷っている時こそ理念や本質に寄り添い原点回帰し、素直に正直に自分の感性を磨き、日々の習慣に手入れをしながら克己復礼に取り組んでいきたいと思います。