民族伝承の智慧

民族には民族伝承の智慧というものがあります。これはその民族が自然の中で共生する中で見出してきた発明とも言えます。それぞれの風土が異なる中で、その風土を活かして暮らしを充実させていくのが人類です。

その人類は、それぞれの風土に適応し、その風土ならではのものを生き方にまで昇華させてきました。それが暮らしであり、文化とも言います。この文化を持っているからこそ、多様な環境の変化にも適応していくことができます。

人類の保存というものを第一に考えるとき、多様な人類があることは多様な環境に適応できていくということです。地球は何度も気候変動を繰り返し、バランスを保っています。その地球の中で暮らしていくには、その環境の変化に適応する力が備わっていけなればなりません。

それぞれの種族が栄枯盛衰を繰り返しながら、その時代時代の変化の中で生き延びて今があります。その民族たちがどのように生きているかは、気候変動した後の地球の未来のお手本になります。

短期的に見れば、様々な科学を使ってどのような場所でもどのようなところでも生活できるようになりました。流通を整備し、住環境や食環境、医療を発達させたことでどの場所でも自分の文化のままに生活できるようになりました。しかしその風土と乖離した生活は、大量の労力や資金を投入しなければならず限界があります。

極端に言えばサハラ砂漠に、アラスカの氷を運び維持するエスキモーみたいな変なことをしているのです。その土地や風土には、そこに住む民族があり、その民族伝承の智慧があります。

私たちは本来、適応するためにその民族伝承の智慧を会得し、どのような風土であっても工夫して生きていく叡智を得ていくことで生き延びる可能性を増やしてきました。

現代の便利な生活は、文化から学ぶことや長い年月で築き上げてきた民族伝承の智慧を消失させていく危険なものでもあります。確かに便利なことは、科学の発展には欠かせませんが同時に文化を発展させていく工夫も必要なはずです。文化を優先し科学がそれを手伝うように、道徳が先行し、それに利益がついてくるように優先するものの判断を間違えないようにしないといけません。

子どもたちの未来を考えるとき、今はまさに時代の大きな分岐点です。周囲にはなかなか理解されなくても、狂人と罵られても、未来の子どもたちに民族伝承の智慧を引き継いでいけるように真摯に今に取り組んでいきたいと思います。