朴葉とお味噌

昨日は、福岡の自然農園で手植えによる田植えをみんなで行いました。情報系の学生さんたちも参加しましたがはじめてだった方も多く、試行錯誤、和気あいあいしながら豊かな時間を過ごしました。

そのあとは色々な味噌料理を友人たちと持ち合い、炭火を熾して朴葉みそを楽しみました。田植えも味噌もどれも懐かしいもので、心温まる時間になりました。

この朴葉は、モクレン科の植物、朴の木(ホウノキ)の葉のことをいいます。この朴葉はむかしから殺菌作用があるとされ、器の代わりや食材を包む材料として用いられてきました。もともと朴葉(ほおば)の名前も、カシワ餅のように包むときに用いられたので「包(ホオ)」となったのが有力な説だそうです。日本自生の樹木の中では、最大級の葉と花をもち南千島から九州に分布しています。

この朴葉みそは、飛騨高山の伝統料理です。具体的には朴葉の上に、自家製のこうじ味噌を乗せて焼きます。朴葉の抗菌作用もあり長持ちしますが焼くとよい香りがします。この食べ方は林業が盛んだった飛騨地域で、山仕事を生業とする杣人(そまびと)たちが山で朴葉を皿代わりに焼き味噌をしたのが始まりといわれます。他には、飛騨高山の冬はとても厳しく食材が凍るので朴の葉の上で漬物や味噌などを温めながら食べたことからではないかといわれます。

不思議ですが、葉っぱは焦げても食材にはほとんどくっつかずに食材に火を通します。柔らかくなり、いい香りがしてご飯がとてもすすみます。むかしの人たちは、お米を美味しく食べる方法をたくさん持っていました。今では糖質制限などといって、ご飯を食べる機会も減りおかずばかりを食べるような風潮ですが本来はモノがなく質素だったむかしはご飯を美味しく食べる方法が全国各地にはたくさんありました。

その一つが御漬物であり、またお味噌であったことは間違いありません。

田植えをしながら、美味しいお米をまた食べようとみんなで予祝をしたことが嬉しく、コロナがまた開けて移動ばかりスピードアップばかりでまた追い立てられるような時間の流れが来ているのをよそにゆったりと過ごせたことが仕合せでした。

先人たちの残してくださった知恵や仕合せをしっかりと伝承していきたいと思います。