時代に挑む

懐かしい暮らしというものは何かということを考えてみます。それは自然と共生する暮らしであることは間違いありません。なぜなら人はみんな最初は自然と共生する暮らしを続けてきたからです。

それがいつからか自然と離れて、時間ばかりを搾取されるような忙しい時代になり暮らしは消失していきました。私たちの暮らしは、自然から離れたところにいることで成り立つほどに経済や社会が改造されていきました。今では、たまに自然と共生しようとすることを遊びで行うくらいです。

自然との共生というと、厳しいものばかりいわれます。気候変動をはじめ、飢餓や飢饉などの影響も受けます。それに病気をはじめ自然災害に苦しめられます。現代社会からみたら、貧困の恐怖のように思えるものです。

しかしよく考えてみると、現代の人口増加の問題や環境問題、それに世界戦争の問題はどこから発生しているのか。行き過ぎて行き詰った状況になったのは明らかに自然との共生を完全に離れてしまったことで発生したのは明らかです。人口の問題などは、今ではアフリカやアマゾン、ありとあらゆる奥地まで資本主義経済を持ち込み、人口増加が拡大しました。世界では10億人くらいの規模がちょうどよいとされていたのが、今では80億人、100年後は160億人となればまるで都会に密集して生きていくような都市の暮らしになってしまいます。

そうなると予想されるのは、食料の問題、環境の問題、そして戦争の問題がすぐに出てきます。結局は、このままいけばもはやゴールが見えているのです。ゴールが見えていても、自然から離れて自然に回帰しようとしませんからそのゴールにたどり着くスピードを上げていくだけでしょう。

科学技術が発展したというのは、この都市化の速度を上げる、あるいは都市化に効率よく変化できるなどの部分だけで自然との共生とはあまり関係がありません。自然との共生は、先人の知恵のところであり、それは縄文時代、あるいは各地域の先住民たちの長老などが語るものの中にこそあります。本来、これが最先端の科学技術の根源であり、私たちはその知恵によってここまで発展してきたともいえます。

私たちが今生きている時代というものは、その揺れ戻しを体験していく時代ともいえます。この150年で蓄積してきた、時間がついに爆発していくのです。だからこそ、その時間に挑むことが求められます。

暮らしフルネスの挑戦も、そして徳積の挑戦もまた、時代に挑んでいるのです。懐かしい暮らしや、自然との共生は、創意工夫で実現できます。子どもたちや未来世代に何が遺せるか、これからも試行錯誤していきたいと思います。