水の知恵

水という存在はむかしからとても不思議です。いのちそのものであり地球を包んで循環しているものでもあります。この世の中は水が浸透し、水が巡ることで多くの生き物たちを育て助けています。つまり陰の立役者でもあり、欠かすことができないもっとも偉大な存在が水です。

しかも水というのは、目に見えるものもあれば空気中の湿度のように目には見えないものもあります。しかし明らかに私たちはこの水が通過しあうことでいのちを分け合っているのです。

例えば、雲が山に来て雨を降らします。その雨は山から流れ出て川になり海になります。そしてまた雲になり山にもどってきます。問題は、そういう水の流れを邪魔してしまうことが様々な問題を発生させます。

その代表的なものがダムです。水は本来は非常にシンプルで本質的な循環を産み出します。山から最初に流れ出てくる水が清らからで新鮮な水として流れ出します、山の麓ではその水を好む生物たちがその水の恩恵でいきいきと活動します。川エビやカニ、ヤマメやアユなどもいますし他にもその周辺には清流を好む存在がいます。そこから川に流れていきますがまずここにダムをつくればその周辺の生態系が変わっていきます。

水はすべての生命を通り、その生命を通る過程で必要ないのちを透過しながら次の養分へと結びます。水には、他のいのちと結合するという徳目がありそのすべてを通ることでいのち全体の流れを結ぶのです。

この結び目には、それぞれが水と共に生きる記憶があります。水がその記憶の間を伝いながら悠久の時間をかけて活動しているともいえます。つまり水は言い換えれば偉大な記憶装置のようなものです。記憶を留めて記憶を循環させていくことで、私たちはご縁の世界を生き、すべてを中和させていきます。

水には不思議な力がありますが私たちはまだその一端を知っているだけです。当たり前すぎてわからなくなっていますが、本来は水は神秘の塊です。

今回、鏡師と一緒に過ごしていくなかで改めて水の持つ神秘的な力を実感することができました。水にうつるあらゆる真実を深めて、子どもたちにその恩恵の偉大さを伝承していきたいと思います。