真の豊かさ

私たちの遺伝子には、最初の細胞の時からの記憶が眠っているともいえます。今まで生き残ってこれたのは、それらの細胞が全身全霊でいのちを生き続けてきた連続とも言えます。

つまりは、全細胞の集大成でありその結果として今の自分があるということです。これはよく考えてみると偉大なことです。ということは、人間に限らずすべての地球の生命、宇宙の生命は無限のようないのちの連鎖を一緒に歩み続けている偉大な存在ともいえます。

目の前の石ころも、そして身の回りにあるすべての自然物もまた同様に物質の一つ一つは結ばれ繋がっていのちを進化させてきて今があります。石ころ一つであっても、その石ころには宇宙の微細な集合体で形成しこの時代の姿となって存在しているということ。また菌類や虫たちもまた、膨大な歴史や体験をもって進化してきた存在の結集体でもあります。

山や海などは、それらをまた別のいのちに甦生するための大切な場として時代を超えて永遠にいのちを活かし続けています。

そういう見方をしてみると、偉大ではない存在はこの世には一つもなくゴミや価値のないものなどは存在していないということに気づきます。感謝する心もまた、そういう偉大な存在に気づくと自然に尊敬の気持ちと有難い心が湧いてくるものです。

宇宙の真理というものは、自分自身の存在の価値、細胞から思考までを創造している何かに気づくことかもしれません。そしてこの意識というものの存在、この意識は何が集合体となってできているのか。

それはこの細胞たちが私の体に集まって何か遺志を持って活動しているということにもなります。そういういのちの観え方をするのなら、この世のものをすべて尊重し、自他を深く慈しみ、今を大切に味わい生きていくことができるように思います。

豊かさの本質は、豊かさに気づくことです。足るを知るとも言いますが、すでにいただいているものに気付けるか、当たり前である存在、徳に目覚めるか、そして生き方を見つめ直してどう歩んでいくかによるように思います。

子どもたちがこの先も同じように、普遍的ないのちの世界で一生を謳歌できるように真の豊かさを伝承していきたいと思います。