山の暮らし

英彦山の宿坊の掃除と庭木の剪定で小傷と筋肉痛の日々が続いています。季節はとても過ごしやすく、新緑と涼しい風に癒されます。もともと山での暮らしというものは、水と草と木々に囲まれたものです。また鳥や虫たちも新しい季節の巡りの中で、あちこちで活発に活動しています。

昨今は温暖化の影響もあり、水が大量に空から降ってきます。山で処理できる分を超えてきますからそのまま水が下流へと濁流のように流れていきます。山も大雨の濁流であちこちの岩が崩壊しています。土砂崩れなどもあり、対策を立てないといけません。

水は何度も流れが変わり、川のカタチも変わっていきます。英彦山の水も同じく、あちこちから水が噴き出し、水路の場所も雰囲気も変わります。

それを人が治せる部分は治せますがそうはいかないものは、その流れに任せて環境を調えていくしかありません。自然の猛威は、人間の想像を超えて訪れます。

昨日のように穏やかで静か、日差しも柔らかく清々しい日常というものは美しく感じます。同時に同じ場所であるのに、荒々しく猛り狂うような天候の日常もあります。自然は、常に両方の顔があり人間を謙虚にしてくれます。

都会で長く住んでいると、そんなに自然の変化や機微を感じることはありません。しかし英彦山に住んでみると、すぐにその変化の大きさに心身や感性が反応してきます。御蔭さまで感覚が研ぎ澄まされ過ぎて寝不足の日々です。

一つひとつのいにしえからの感覚を甦生させていきます。野生は、元来、山にも自分にも徳として具わっています。子どもたちにも様々な体験を譲り遺していきたいと思っています。