人は忙しくなってくるとそこまでのプロセスを味わうことをやめてしまうものです。あるいは結果ばかりを気にしてプロセスを味わいたくないから忙しくするというものもあります。本当は、素晴らしい体験や経験、その経過は一期一会で人生において最も有意義で価値のある時間だったとしてもそれを敢えて忙しくすることでプロセスそのものを味わいたくないものにしてしまっています。
つまり忙しいというのは、単にやることがいっぱいで納期や期限があるから忙しいというものだけではなく結果ばかりを追い求めていることを忙しいともいうように思います。
私たちは体験させていただくことや経験すること、そして経過そのものが本来の人生ともいえます。結果も大切ですが、結果が喜びになるのはその経過が素晴らしいからです。その経過を楽しみ、その経過を慈しみ、その経過から人生は彩られ豊かさに溢れます。
私は座右に人間万事塞翁が馬というものがあります。これはよくよく観察し、じっくりと待つことで別の結果があることを學ぶ格言です。
実際の人生は、思った通りにならず思った以上のことが発生します。その時々で、よくよく自分の人生における経過を観察し、その経過にどのような気づきがあったか、何を学んでいるかを繰り返し内省していると恩恵の偉大さに感謝することばかりです。
まさに探そうとしても探せず、手に入れようとしても手に入れることができないほどの一期一会のご縁をいただいていることに出会います。それが経過の有難さです。経過を忘れるほどに日々に結果ばかりを追求していたら、一期一会の仲間との邂逅やまさに天恵などの奇跡の贈り物、あるいは役割をいただけることへの感謝、身体が動くこと、生きがいややりがいなどもおざなりになってしまいます。
忙しいというのは、とても大きな損失であり見落としばかりの日々を過ごすことになるかもしれません。微細な変化、成長、感謝、邂逅、奇跡に気づくことができる人生はとても豊かです。
忙しいという価値観に呑まれないように、一度きりの限られた今世での一生涯、丁寧に一円対話や内省を続けていきたいと思います。