私が大好きな政治家の一人であったウルグアイのホセ・ムヒカ氏がお亡くなりました。世界一貧しい大統領と世間では呼ばれていましたが、現代のような消費経済で忙しくする世の中においては世界一心の豊かな大統領ということになるのでしょう。
今の時代がどういうものか、客観的に見つめると現代の時代の中でリーダーと呼ばれる経済大国のトップたちは心が豊かな大統領というよりは、世界一の富裕を目指し貪欲に際限なく富を世界からかき集めようとする心が貧乏な大統領という印象ばかりです。いくら豪華な家で豪華な車、そしてありあまる富を持っていようと常に時間を切り売りしては地球上の資源を奪い合い、自国ファーストといって富裕層の人たちの生活を守るための経済状況を維持することだけに躍起になっていく。ここに真の意味で人類の幸福があるとはとても思えません。
そもそも人類が今のように消費消耗経済に突っ走るようになってからもうどれくらい時間がたったでしょうか。ひたすらに時間を切り売りして、労働をしもっともっとと大量生産大量消費を繰り返してきました。気が付くと、地球は化学物質に汚染され人口は増え、資源は枯渇し、生活習慣病の嵐です。病気や薬も増え続け、食糧は美味しくもない合成添加物や防腐剤まみれ、くだらないマスコミネタで毎日のニュースは溢れます。戦争は経済戦争に止まらず、経済のために実際に戦争をおこしては武器商人たちの経済が潤い続けています。
この経済というものの考え方を社会スタイルの第一等に換えてから人類は自分たちの生活スタイルも大きな変更をしてきて今があります。資本主義を中心に産業を拡大させ、消耗消費することで世界が潤うと幻想を持ち、今のように便利な社会スタイルを確立させていきました。同時に、その社会スタイルにあわせて一人一人の生活スタイルも変えていきました。その結果、どうなったか。
便利なもの、効率的なもの、時間はなくなり、お金は増え、物が溢れ、何でも使い捨てる生活が最も価値があるようにみんなで信じ込んできました。もっともっとと使い捨てれば使い捨てるほど、ゴミを増やせば増やすほど経済がまわると信じ込んだのです。笑いながら古臭いと先人の智慧を捨て、丈夫で長く使えるものを捨て、自然と循環するものを捨て、そして人間らしさも捨てていきました。
もうここまで来ると、気が付くどころか消費消耗し続けられるためにさらに新たな消費消耗できるものを探しては経済のために命懸けで人生の全部を差し出し生きていく生活スタイルに誰も疑問も持ちません。
本来、人間は何のためにこの世にきたのか。
これは人間に限らず、すべてのいのちの問いです。それは仕合せになるためなのは誰でも知っています。では何が仕合せなのか、それに向き合うには今を生きる人たちの生活スタイルから見直す必要があります。なぜなら、人は暮らしによって仕合せを確認することができるからです。この暮らしがつまり生活スタイル(生き方)のことです。
自然と共生し、先人の智慧と共に生きる暮らしは、徳が循環するような生活スタイルになっていきます。私が実践する暮らしフルネスは、その生活スタイルから自らの生き方を見直すという一人一人の改革の道です。
結局、国家や時代に不平不満を言うのは簡単ですが、全てが敵ではありません。恩恵もあります。ただ、際限なく恩恵を貪るというのはどうかと思うのです。実際には目先の便利に走る生活スタイルを少し休め、足るを知る暮らしをみんなで小さくても実践するところからはじめればそのうち一人一人の目が醒めてきてみんなもそのうち真の豊かさや仕合せに氣づく感性も磨かれていくようになります。一人が目覚めれば、そのうちみんなが目覚めるのです。目覚めると信じて鐘を打たなければ誰も目覚めることはないのです。
徳を積むのも徳を磨くのも、仕合せになるからでありみんなで長い目でみて地球の偉大な循環や調和と一体になって子孫を見守っていきましょうというお声掛けです。暮らしフルネスを一緒に取り組む人たちは、自分がまず足るを知る暮らしがいいと実践してほしいと思います。
最後に、ホセ・ムヒカさんの言葉です。
「日本にいる子供たちよ。君たちは今人生で最も幸せな時間にいる。経済的に価値のある人材となるための勉強ばかりして、早く大人になろうと急がないで。遊んで、遊んで、子どもでいる幸せを味わっておくれ」
いつの時代も普遍的ないのりや願いは子どもたちが仕合せになる世の中にすること。永遠にそうあってほしいと真の豊かさを知り、私も私の役割と人生を全うしていきたいと思います。