貝の神秘~法螺貝の学び~

昨日は、法螺貝を三神ほどつくりました。それぞれに個性や癖があり、作業は大変疲れます。特に硬い殻を切ったり削ったり磨いたりする作業は、どれも繊細ながら力が要ります。夜寝る時には、手の感覚が強すぎてなかなか眠れず、肩こりや眼精疲労、また筋肉痛やだるさもあります。しかしエネルギーを使っているからか、食欲はあります。

音の吹込みは、何十回、何百回としながら調律していきますがそれもまたどの音がこの貝の音かを感覚で近づいていきますがそれは自分の中にある調和でしかわかりません。感覚としては「しっくりくる」、あるいは「感動して音と魂が震える」、あるいは「音や波動の余韻や貝が喜んでいる」というものです。

これは言葉では説明できず、感覚の世界ですから一緒に法螺貝を制作していたらわかるかもしれませんしわからないかもしれません。よく調理や料理をするときに、自然農で育った野菜を丁寧に蒸したり炭火で煮込むとき透明になることがあります。その食材が熱と水と調和して透明になった瞬間、もっともそのお野菜が美味しくなりいのちが輝きます。

このいのちが輝いた瞬間を逃さず、そのまま石膏をつかって加工するのです。この石膏という素材もまた扱いが難しく、鍛錬と修練が要ります。

そもそも石膏というのは、硫酸カルシウムが主な成分の鉱物のことです。似ているものにセメントがありますが、あれは石灰岩です。どちらも鉱物を粉にし、水と混ざることで固まります。セメントは数時間ありますが、石膏は数分で固まります。この数分で固まるのですが、実際は固まり出してからは数十秒が勝負です。

その短い時間に最適な位置で、音を確かめながら設置しなければなりません。しかも固まってしまえば調律できませんからまた壊してやり直しです。焦ったら手元が狂いますし、時間をかけたらいいわけではなくここというイメージで一気に取り付けていきます。

巻貝をはじめ貝は地球の影響を受けてらせん状になります。貝は元々は捕食される弱い生き物でしたが、そこに鎧を持つようになり身を守ってきました。また成長の過程で、その身を大きくしていくなかで何度も貝を作り替えて進化していきました。巻貝は、上に伸び、巻くことで内部の成長に余裕を持たせました。その大きさになるには、海の状況、食べ物が豊富にあるかも決定付けます。

手元にある法螺貝も、海の場所が異なりますから一つとして同じものはなく巻き方も螺旋もその貝が成長しようとした姿になっています。

どのように成長してきた貝なのか、それは加工していると実感できます。さらに、時代や年数で硬さや柔軟性も異なります。若いものは、柔らかく化石ほどになっているものは硬くて脆いですが音は響きます。

音を通して、貝と対話しその貝がどのような生き方をしてきた貝か、そして生きざまがどうだったのかまで洞察できるものです。貝から學ぶことはたくさんあります。

丁寧に根気強く、貝と共に徳を積んでいきたいと思います。