循環の脈

地球は大小さまざまな循環を通して、生命を育んでいる星です。循環には脈というものがあり、全体の巡りと生命のリズム、そしていのちの交換というものが発生しているのがよく分かります。

これは空気中でも同様です。

例えば身近な田んぼで考えてみるとすぐにわかります。空気中の窒素は大気の約78%を占める地球上で最も多い気体です。酸素は21%しかありません。しかし大気中の窒素N₂は非常に安定していて、植物や動物はそのままではほとんど利用できない仕組みになっています。そこで一部の微生物が窒素を固定し、植物が使える形へ変えます。植物がそれを吸収し、動物が食べ、枯死体や排泄物が分解され、再び土へ戻り、最後は一部が大気へ返っていきます。

これが窒素循環です。

この絶妙な巡りとリズムと交換が調和するときはじめて循環の脈が正常であるという状態ができます。この循環の脈をもし異常にするなら田んぼに速効性の肥料を大量に投入すればよく、それによって循環が急に速くなり植物が吸収しきれない窒素が水へ流れたり、大気へ失われたりしていきます。微生物の量も均衡も変わります。人間が余計なものを投入すると、循環の速度を上げていきます。そのどこかで、数々の小さな循環が乱れたり滞ったりしていくのです。

この乱れるというのは、先ほどの速度が異常になったり、交換することができなくなったり、巡りという関係性が断裂してしまうということをいいます。

つまり循環の脈が消失するというのは、必要な分だけ必要な量を分け合い共生する仕組みを破壊するということです。

自然界の生命は、必要な分だけを交換し合います。これは循環の脈を破壊しないように配慮しているからです。野生の動物たちも必要な分だけでそれ以上は取りません。循環の脈が乱れると、調和するために色々な異常行動が発生していきます。

そもそも「分け合う」というのは、多くのいのちと関係性を結んでみんなで一緒に豊かになっていくことをいいます。共存共栄とはその意識のことをいいます。

田んぼであれば、田んぼの生態系みんなで分け合い生きていこうとする農法もあれば稲の収量や形や見栄えだけをよくしようとし生態系を排除する農法もあります。循環速度を上げれば収量は増えますが、田んぼに無理をさせた分が後で大きな影響を与えいます。無理をさせないようにと肥料と農薬をさらに投与すれば、田んぼは自力で循環することはしなくなり単なる生産機械のようになっていきます。

循環の脈を診るというのは、いのちがどのように結ばれつながり関係して交換しあっているのかを確認するということです。

引き続き、自然をよく観て、循環の脈を調えていきたいと思います。

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