つなぐチカラ

先日、福岡県朝倉市比良松にある250年の古民家を有志たちのハブ(HUB)にしたいという相談を受けました。このHUBという言葉は、ネットワークにおいて中心に位置する集線装置のことで名前の由来は『車輪の中心』からきています。

つまりハブ(HUB)にしたいというのは、人と人をつなぎ想いと想いをつなげる場所にしたいというニーズがあるということです。もちろん車輪の中心になる場所ですからそれなりの地政学的にも集まりやすい場所であり、地域には誰に集まってもらうのかという対象となる人物たちがあります。

また世界や全国から来ていただいてもしっかりとおもてなしできる環境がある必要があります。ただの空き家をハブ(HUB)にするためにコワーキングスペース(CO-WORKING)のようなものを設置するのではなく、まさにその場が価値があるものでなければなりません。

コワーキングスペース(CO-WORKING)とは、最近よく聞くことが増えていますがこれはシンプルに言えば「共働オフィス」のようなものです。このCOというのは、「共」を意味します。そしてワーキングスペースを訳せば「仕事をする場所」となります。つまり、ノマドワーカーや個人事業主、もしくは様々なファシリテーターやクリエイターたちが共働し合う場になったり相乗効果が発揮できるような「つながり合う場所」になっていくということです。このつながりの「つな」は、蔓状の植物、葛からできた言葉だともいわれます。あの葛の繁栄ぶりを見ればつながっていく繁殖力は自明の理です。

実際には、目的が異なれば交流する人たちの種類も内容も異なりますがそもそも何のために共働の場が必要なのかという議論があります。確かな意志をもって、使い手たちの思いに応えられるものでなければなりません。何をつなげていくのか、なんでつながるのか、その思いがつながっていきます。

よく考えてみると、歴史を顧みても様々なものが交流することで時代は発展と繁栄を繰り返してきました。

一つの思いや願いが、場の力によって発揮されそれがカタチになっていく。まさに、人は協力し協働することで大きなことを成し遂げるのです。

そしてその地域の古民家には歴史をつなぐ力があります。その場所で生きた人たち、暮らしや風土文化、様々なものをつなぐ力を持っています。つながりというのは、時間のつながり、空間のつながり、地域のつながり、人のつながりというように、あらゆるものが一つに融和していく中で、その場力は高まります。

交流していく中心、まさにそのハブ(HUB)は誰が何の目的で行うのかで何がつながるのかがはっきりするのです。色が混じり合い新しい色が生まれてくるように、あらゆる人種や文化を超えてつながる時代がもうそこまで来ています。

その国の風土や歴史や文化、そして生き方を体現したものがその地域で新しいものを生み出してそれが世界に発信されていくことはとても素晴らしいことだと私は感じています。

どのようになるかわかりませんが、子どもたちの仕合せにつながっていくように最善を盡していきたいと思います。