初心の伝承

人は頭で考えてばかりでは正しいか正しくないかという正解ばかりを探していくものです。最初から頭で考えてしまっていたら、頭で考えないことがわからなくなるものです。

例えば、ある人を理解するのに立場や肩書で入ってしまうとその人の初心や目的を理解するよりも手段や方法ばかりに囚われてしまいます。

人は本来、目的があるからそれをやるのであり、その初心が何かがわからなければ本当の意味で頭で考えずに深く味わい理解することができません。何のためにやるのかということを確認せずにいくら頭で考えて予測推察しても本当の理由はわからないことが多いのです。

私は目的を確認するタイプですから、なぜそれを聞くのかと驚かれることがあります。しかし本質を知らなければ、話が進まず、目的や方向性を確かめなければその人が本心から思っていることがわかりません。

常にその人の本質や本心を確認しておけば、相手がもしもブレていても私が話をする中で原点回帰することもできます。お互いにそうやって自分たちがなぜご縁があったのか、ここで一緒にいるのかを確認することは仕合せなことであり、共に助け合い仲間として協力し合う喜びもまた感じ合えるように思います。

現代はスピード社會で、いちいちそんなことを確認する暇などもないのかもしれません。しかし、それは敢えて時間をとってでも確認しないとその目的のずれが時に大きな勘違いをつくり周囲に迷惑をかけてしまうこともあります。まず自分自身が何のために何を信じて取り組んでいるのか、それをブレないこと、そしてともに出会った人とその目的を分かち合うこと、ここからはじめて人と人の深い絆がはじまります。

私はモノに接するときもまた、そのものの徳というか目的に触れて敢えて手間暇をかけて取り組むようにしています。それがその人の初心を思い出し、いつまでもその人のままで本音本心を呼び覚ます切っ掛けにもなるからです。

目指している世の中や、それぞれのご縁の仕合せのために、初心を伝承していきたいと思います。