美しい豊かな未来

いよいよ今度は、東京から飯塚に移住して「暮らしフルネス」を実践するための場として藁葺の古民家を甦生することになりました。この藁葺は、むかしの農家の古民家で周囲には棚田や大きな銀杏の木や杉の木が特徴的です。

実際に、家とのご縁もありますがそれよりも家を通して人とのご縁があることが有難く、今回も奇跡のような出会いに感謝することばかりです。

もともと私はこの家のある道の先に、自然農の畑を持っていますからここ10年くらいは通っていた道です。いつもこの古民家の前を通るたびに、空き家で傷んでいく様子、雑草や雑木が鬱蒼としていて異様な雰囲気を放つ様子に心を痛めていました。

自分の生まれ育った町の風景が美しいのは、心の平安が来て仕合せな気持ちになります。その逆に、故郷が失われていく様子や、風景が壊れていく姿には悲しい気持ちになっていました。

先祖たちが深く愛した故郷の美しい暮らしや風景を、そのままに子孫たちにつないでいきたいという想いは年々強くなるばかりです。そしてそれはただ守りたいという想いばかりでは守れません。

守りたいからこそ攻める必要があります。その攻めとは、この時代に相応しい暮らしを実現することであり、子孫たちにいつまでも受け継いでほしい文化を温故知新して今の時代に適応させていくことです。

時代が変わるからこそ、私たちは磨き続けなければなりません。それはいつまでも古くならないように常にもっとも大切な理念を維持しながら、もっとも新しいものを吸収して改革を続けていく必要があるのです。伝統と革新は、私たちの世代の責任であり、そうやって故郷を守り育てて繋いでいくことで美しく豊かな未来が拓けます。

もう賽は投げられていますから、あとはいつものように真心のままに取り組んでいくだけです。いいご縁を活かせるように、謙虚に素直に丁寧に丹誠を籠めて取り組んでいきたいと思います。