社会の伝承

時代の変遷と共に子どもたちの取り巻く環境は変化してきています。戦後のベビーブームで急速に人口が増えていった多子社会の時の環境と、今のように高齢化少子社会の時では子どもたちが置かれた状況は一変しています。

私のまだ幼いころは、周囲には常に子どもがいて学校にも大勢の子どもたちがひしめくように狭い遊び場を取り合っていました。今では子どもの数が減り、空き教室なども増えています。それに近所にはたくさんの子どもがいて、ちょっと道を歩けば友達に会えましたが今では遠方に住んでいる友達ばかりで簡単には会えません。

都会では、田舎から人が集まってきますから人口はそんなに変わっていませんが子どもは昔と違って危ないからとほとんどが親の目の届く家の中で遊ぶか近所の公園や学童などの施設内で遊んでいます。

子どもが減って大人と子どもの関係ばかりが強くなると、子ども同士の関係は薄まってきます。しかし自分の幼いころのことを思い出すと、大人から過保護過干渉の縦の関係よりも子ども同士の横の関係で学んだことの方が多かったことを思い出します。

子どもたち同士で学ぶことは、そのまま実社会で役立つことばかりでそれを子どもながらに試行錯誤しそのころの友達と様々な遊びの中で智慧を培っていきました。子どもが子ども同士で学ぶのは社会を創る実験でもありました。その子どもたちが想像した社会実験が大人なってからの実社会になるのです。

子どもたちにとっては今の大人たちの社会が模範となって自分たちの社会を創造していきますから今の大人たちがどのような社会を育てていくかはとても大切なことのように思います。

大人たちが協力し合い、仲良く助け合う社会をみては子どもたちも同様にそのような社会を子ども同士で築き上げていきます。しかし反対に、競争や歪んだ個人主義の姿をみせばそれも真似をしていじめやひきこもりなどにつながっていくこともあります。社會は即、子どもたちの発達や成長に影響を与えます。

だからこそどのような社会を子どもたちに譲り遺していこうかと考えることは、人類にとっての教育のあるべき姿を追求する世界共通の課題であり、時代が変わっても子どもたちがどのような社会を望んでいるかは、常に私たちは子どもの今の姿から学び直す必要も感じます。

今の大人たちの社会を押し付けるのではなく、子どもたちが創ろうとしている社会をどのように信じて見守るかは現代の世代を担う責任であり、人類のための尊い使命のようにも思います。

引き続き、子どもの環境が変化していく中でも変わるものと変わらないものを見極め、子ども第一義の理念を実践していきたいと思います。