本当の仕合せとは何か

人生には自分の人生の節目節目にご縁を導いてくださっている恩人がいます。その恩人とは、心の恩人であり自分の心が歩んでいく方へ時としては支え、また時としては与え、ある時は叱咤激励し、そして見守ります。

節目というのは恩人を感じやすいことであり、恩人が節目を彩ります。自分がどのように生きているか、そして自分が何を実現したか、自分が何処に向かって挑戦しているかを観ていただくこともまた一つの恩返しのように思います。

このご縁によって結ばれたことが恩そのものであり、むかしの人たちはその恩を忘れませんでした。恩を忘れないというのは、ご縁を忘れないということです。

今の自分が今、こうあるのは何の御蔭様かを考え深めたときそれはご縁によってそうなったと誰もが自明します。そしてそのご縁をさらに感謝しているとそれは偉大な恩がそこにあるのが分かります。

一期一会で生きる人たちは、そのご恩を忘れません。そしてそのご縁を大切にします。ご縁を大切にするというのは、その結び合いによって何が誕生したかということの顕れでもあります。

例えば、男女が結ばれて子どもができます。これは男女のご縁が結ばれて恩が生まれたのです。その恩は、子どもから観ると両親こそが恩人でありその恩を返したいと思うのです。親孝行も恩を忘れないから行うことです。そして返せないほどのその偉大な恩をどうするか、今度はまた自分が同様にご縁を結び恩をつないでいくのです。

つまりは、縁=恩であり恩返しとは縁恩返しなのです。

この「返し」というのは、表裏一体のことで自分が表でいただいた御恩は、今度は入れ替わって相手の御恩となるということです。先ほどの親子でいえば、親が恩を与え、子どもが成長して恩を与える。お互いにご恩を行き来しながら表裏一体のご縁を味わっていく。

このご縁とご恩は、結び合いの中にある「仕合せ」のことを言っているのでしょう。まさに縁恩和合し結ばれたことが至高至大の幸福だということなのでしょう。

仕合せは、こうやってご縁やご恩に生きている今のことをいいます。

物があふれ、我を強くし、一時的な幸せが幸せに苦しんでいる人たちが増えています。それはご縁やご恩を大切にするという、古来からの日本的な懐かしい生き方が失われてきているからです。

子どもたちがご縁やご恩に恵まれ安心して豊かに生きていけるように、私自身、恩人の方々との節目を味わいながらその偉大な一期一会を大切にしていきたいと思います。