気分転換~福楽~

人はストレスというものを抱え込むといいます。このストレスは悪いものだと決めつけている人もいますが、ストレスは良いこともあります。実際のストレスには良し悪しはなく、そのストレスの御蔭で私たちは自己変革に向き合っていくこともできるとも言えます。

過度にストレスをかけてしまうのは、かえって柔軟性を失わせて変化を止めてしまいます。問題はストレスがあるかないかではなく、変化しているかどうかということになるのです。

変化というのは、柔らかな感性が必要です。老子の言う、「柔弱の徳」のように柔らかく嫋やか、しなやかであるものがもっとも変化できるということなのでしょう。それだけ柳に風のように変化を楽しめる境地に入ればストレスもまた感謝になっていくように思います。

そのストレスに対する感覚は、現代ではリジリエンスといって立ち直る力としても注目されています。一流のビジネスマンやリーダーは、ストレスに対するメンタルの持ち様が磨かれているから失敗を恐れず挑戦し、仕事もまたできるようになるというような感じに世間では語られ研修なども増えています。

ストレスの発見者ハンス・セリエ博士は、ストレスとの付き合いのために「気分転換」を大事にしたといいます。

如何に気分転換するか、気持ちを入替えるかで視野が広がり心の余裕をつくることを言いました。よく考えてみると、脳ばかりを働かせ、意識ばかりを一つのことに囚われ、目ばかりで物事を見ていたら次第に息をしなくなってきます。つまり空気を吸わず呼吸をしなくなってきます。

そういう時は、外に出て新鮮な空気を吸うことが大事だということなのでしょう。

正解ばかりを探しては真面目に正しいことをやろうとして常識に囚われ脳みそばかりを使うと、人は呼吸を忘れてしまうかもしれません。呼吸が止まるというのは、脳と心のバランスが取れなくなっているという状態なのでしょう。

ストレスがあるということは、そのストレスをどう転じて福にしていくかということです。様々なストレスは変化の兆しですから、その変化を見逃さずストレスを味わいそれをどう転じて面白くしていくかで呼吸法もまた身に着けていけるように思います。

楽を選ばず、真楽は苦しみの中にありますからストレスの中にこそ本当の楽しみがあると言えます。それは変化の歓びであり、変化の仕合せです。気分転換は、嫌なことを我慢して嫌なことを嫌々やるのではなく、気分転換に初心や本心を優先してあげる心の福筋を如何に鍛錬するかによるのでしょう。

遊び心も笑いも気分転換もまた福筋を鍛錬するための方法論です。

日々を味わい次々にやってくる楽問を選ばず遊び、福を楽しんでいきたいと思います。