虫も草も家族の一員

自然の中で農を学びつつ、自らの道に照らして一年が経ちました。

自然農のコンセプトの虫と草を敵にしないとありましたが、これもやってみて分かることがあったのですが今の時代の農法では農薬や除草剤により常に虫や草が敵だとみなしそれをどう排斥するかということに取り組んできたもののように思います。

あの手この手を用いて、様々な方法で虫も草も増えないようにとしてきたのです。

実際に作物を自然の中で野生的に育つのを見守ると、大量の虫たち大量の草たちが発生してくるのが分かります。その中で一緒に育っていくのが野菜なのでしょうが、それでは虫に喰われ、草に負けてしまうと思い込んでいるようにも思えるのです。

もともと最初から自然界は、持ちつ持たれつ、食べ食べられることで成り立ちます。

葉っぱを食べる毛虫を蜂が食べ、また別の葉を食べるバッタをカマキリが食べ、それをまた鶏が食べ、その卵を人間が食べと、常に食べ合う関係で成り立っているとも言えるのです。もしもその食べる関係が壊れれば、当然食べるものがなくなってしまいます。

虫がたくさんいるということは、食べ物がたくさんあるということですし、雑草が生い茂っていることもそこには食べるものに溢れているということです。自然界では、それは共に生かしあっていく楽園であるのです。

農園を楽園にするのか、農園が苦園にするのかは、人間都合でやっているともいえるのです。

今は私のやり方が注目され色々と非難されるのは、今まで自分たちがやってきたことへの否定や自分たちが正しいと信じてきたことへの挑戦であるように目に映るのかもしれません。

しかし私はただ虫も好きで草も好き、そして自然が好きで仕方がないからやりたいと思うのです。これは子どもが好きということも同じで、純粋に素直に好きだと思うから垣根が低くなり、障害がなくなっていくようにも思うのです。

もちろん虫には刺されるし、草にも負けるし、作物だって3分の1以上は食べられてしまうこともあります。思い通りにはいかないことがほとんどです、しかしこれは慈善でいうのではないですがその御蔭で生きものたちがいることを実感でき人間だけではないことを知り、食べるということが何かを覚り、自分の取り分がいただけることに感謝の念が湧いてくるのです。

虫も動物も草も、独占しようとはしていない、必ず食べる分しか食べないということも分かってくるのです。急激に害虫が増えるのは人間が自分の都合で減らしたりするから一部のものがたくさん食べれば同じくその食べる対象がいなくなるのだから一部の生きものだけが増えてしまうのです。

虫も草も敵にしないという言い方よりも、私には虫も草も家族の一員と思った方がいいかもしれません。それが私が虫を育て雑草を育てていると笑われている由縁かもしれませんが、地球の中でみんなで棲み共に暮らしていく豊かさを味わい尽くすことが繋がりという安心へと導くのです。

これからもこの永続してきたいのちの共生の体験と気づきを一つでの多くの子ども達の現場に引き継いでいきたいと思います。