歴史の糸

歴史を学ぶと後から色々と何が本当だったかということを考えさせられることがあります。歴史は勝者の歴史といって、後の人が書き換えることができます。自分に都合のよいように書き換えることで、自分たちの正当性を証明していきます。

しかし本来、歴史の真実はそういった勝者のものではなく本当にあった事実のことを言います。現実には何が起きたのか、それを洞察し、現地を訪ね、事実を明らかにするなかで今までつながってきた本当の意味や理由を学び直すのです。

太古のむかしから私たちは、何を信じてどのように暮らしてきたのか。そこに様々な文化が流入し、文明がさかえてきました。その中で、権力を持ち、人間が人間を統治するなかであらゆる価値観が誕生してきました。

信念を持って生きた人たちが、また別の信念を持っている人と衝突したり融和したりと、人類は常に形をかえども同じことを繰り返してきました。

そのいくつかは対話で実現したもの、またあるいは暴力によって実現したものもあります。どちらにしても、消し去っているように見えて消えていない歴史がありその歴史を受け継いでいく人が現れていきます。歴史は人間の生き方や生き様を表現しているものであり、どう生きるのかを学び直すものです。

岡倉天心が「われわれは、われわれの歴史の中にわれわれの未来の秘密がよこたわっているということを本質的に知る」とも言っています。

未来は歴史の中にすべて備わっているともいえます。またカーライルは「現在というものは、過去のすべての生きた集大成である」ともいいます。

歴史と現代と未来をよく学べば、その中に一本流れている真実が奥の蔭に隠れていることに気づきます。

子どもたちのためにも、その一本の糸を丁寧に紡いで今を生き切っていきたいと思います。