苦労の真価

昨日、聴福庵に来庵された方から「苦労をお友達にする」というお話をお伺いするご縁がありました。これは苦労は嫌いになったり逃げたらいつまでも追いかけ来る、だから苦労とお友達になっていこうとするのが人生にとって仕合せになる大切なこととお話されていました。これはこの方の座右の銘でとても深いお話でした。

苦労はみんなが嫌がるものでもありますが、お友達になっているちに苦労が好きになり、苦労がいることで仕合せになると感じられるようになったらもはやそれが最上の喜びになるというのもわかります。苦労する喜びを味わえる人になったとしたらそれはもはや人生の達人です。

その方のお話ではかつての古い時代、日本人は苦労をよいこととして受け止めていた人が多かったと仰っていました。若い時の苦労は買ってでもせよという格言もあります。その苦労は人生に大きな役に立つからとの教えもありました。苦労するからこそ幸福になるという言葉、つまり苦労こそ幸福であるという意味になります。

その苦労とどのようにお付き合いしていくか。辛いこと、嫌なことになると本当に毎日がそのような日々になります。そこを見方を転じて、苦労させてもらえる喜び、苦労があったから今があると、まるで人とのご縁のように丁寧に一つ一つ関係を結んでいくことがよりよく生きるための知恵であることもわかります。

教えていただいたその方の生き方を拝見していると、本当に苦労を厭わずに真心を生き、日々を充実し、感謝で満たされておられました。徳を纏われ、みんなに慕われ、歳をも感じさせない溌溂として元氣が漲っておられました。

生き方というのは、こうやって歳月を積み重ねることで素晴らしい結果になっていることを知り、努力をさせてもらえる喜び、苦労できるほどに心から好きなことに取り組めたことに感謝の気持ちが湧きました。

一つひとつ、一人一人のご縁があるから今の私があります。

心に響く言葉や教えを胸に、丹精を籠めて歩んでいきたいと思います。