徳が醸成する場

田んぼを観察していると、多様な生き物たちが活き活きと生活しています。これは自然農の畑も同様です。私は伝統在来種の高菜もずっと守っていますが、その田んぼもまた生き物たちの宝庫です。

多様な生き物がいるというそのものが豊富な土壌の徳を感じさせます。私は人類や地球が豊かであるかどうかの判断基準は、生物多様性が百花繚乱に活き活きといのちが耀き豊かになっているときに感じるものです。

現在、地球はその逆に生物の絶滅は進んでいます。世界では確認されているだけでは200万種くらいあるといいますが実際には800万種以上が存在するといわれています。それが約15分に1種ずつ絶滅しているといわれます。

もちろん、気候変動等で仕方がないものもありますが森林伐採や海洋汚染など人の営みや暮らしによって発生しているものがほとんどです。

田んぼの中でさえ、数百から数千種の生き物たちが関わってきます。

私たちは田んぼ一枚をつくり見守り関わるだけでそれだけの生き物たちの生活環境を用意し、地球の生態系の循環に貢献することができるのです。

そういう意味でも私たちの「場づくり」は、徳が循環する経世済民の場にしているともいえます。

そもそも人間の徳の一つは、八百万の神々の声を聴くことができる力です。

つまり「万物の声を聴き、万物との調和を実現する役割を担う存在」であったはずです。万物の霊長とはいのちを上から支配するという西洋的な発想ではなく、いのちのために「はたらく」という存在であったはずです。さらにいえば、「一緒に働く」という互譲互助の精神を実践するということだったはずです。

自然と一体なって、全体最適のための行動をしいのちの循環を見守り永続していく場を譲り遺していくのが人間の徳性、人間性の維持だと感じます。

私たちは単に田んぼをお米づくりをするための場ではなく、人間性を回復し暮らしを甦生する場として修養していこうと取り組んでいます。

仕事で忙しい日々の中で、いのちや生き物のために少しだけでも循環のお手伝いに入る。それだけ心は癒され、場が調い、自分らしさや人間らしさが還ってきます。

子どもたちのためにも、徳が醸成していく場を一緒につくっていきましょう。