暮らしの積み重ね

古民家甦生をしていると、よくベテランや熟練の職人と出会います。特に私のチームは、大工の棟梁や左官ももう70歳から80歳くらいになっていますが10代の頃からこの道に入り今でも現役で一緒に作業しています。

年齢による貫禄もありますが、その円熟した仕事や作業の様子にはいつも尊敬の念を感じます。例えば、無駄な動きがなく、微細なことにも丁寧、後片付けや次の仕事の段取りなども上手に行います。的確な指示を出し、意見を集め、何か問題があれば臨機応変に粛々と対応します。できなことと、やるべきことをよく分別しては家主をはじめ家全体の様子を確認しながら最適な場所を探していきます。

私も軒数を重ねていくうちに、色々なことが習熟して無理をしなくても様々なことが調整や調和がわかるようにはなってきました。まだまだ問題ばかりに柔軟に対応していますが、ベテランや熟練の職人たちに支えられてばかりです。

これは会社の仕事も同じです。長い年月、一緒に様々なことを積み重ねていると感覚として自分がどうあればいいかをみんなで維持していきます。どのような意識がいいか、どのような習慣を続けていくか、どのような環境を用意するのがいいか、そして今、何に集中するのが理想なのかと感覚で一致していきます。

うちの会社の役員たちはもう一緒に過ごした期間も長く、阿吽の呼吸でお互いの目的に合わせて立ち振る舞います。

積み重ねていくということは、伝統や伝承を紡いでいくことに似ています。まさに伝統文化とは先人たちが積み重ねてきた智慧の結晶です。同じことを何度もやっているようでも、積み重ねていくうちに上達していきます。上達したものはまるで空気のように、そして体の一部のように変幻自在に自由自在に動いていきます。

日々の小さな実践や練習は、必ずいつの日か実を結び形になるものです。

子孫のためにも、暮らしフルネスを丁寧に積み重ねて徳を譲っていきたいと思います。

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