しっくり

古民家再生を行う中で、同じ年代の道具たちを集めていますがいろいろな不思議な体験をすることがあります。時代は遠くは縄文時代から、近くは明治、大正、昭和のころを集めていますが様々な道具はお互いに関わり合って新しい場を創造していきます。

例えば、和室にはやはり和のものがしっくりきます。そして同じ時代のものはやはり近くに置いてみるとしっくりきます。また素材として近いものもまたしっくりきます。性質が同じであるものもしっくりきますし、作り手が同じものもまたしっくりします。

この「しっくり」というのは、調和して落ち着き円満であることを意味しますがなぜそういうものがわかるのかということです。調和したのがわかるというのは、感覚で理解しています。それは置いてみればわかるように、つなげてみたり、近づけてみたり、離してみたりしながらわかってくる感覚です。

この調和や円満というものは、そこに「つながり」を感じます。

私たちが調和をみるとき、それがどのようにつながるのか、そして結ばれるのか、その結びの中心を直観するのではないかと私は感じるのです。

歴史的な事実と結びついたとき、造り手の願いが結びついたとき、使い手との想いが結びついたとき、すべては調和します。この調和というのは、ギリシア語ではハルモニア「harmonia」といいます。この語源は大工仕事で建材の各部をたがいに嚙み合わせて、ぴったり接合することを意味したといいます。

この接合したりつながったり結ばれたりするときに、万物は調和します。そしてこのしっくりくるは、その時の感覚を言います。これは人間関係でも同じことが言えます。お互いに結びつきつながり合うとき、円満に調和します。そしてそのためには、お互いの時代的背景を結ぶことや、思いや願い、祈りをつなぐことや、助け合い力を合わせて同体験より絆を持つなどでさらにしっくりきます。

逆にしっくりこないというのは、自分自身が結ぼうとしない、また調和を避けていたり、お互いが折り合いをつけなかったり、一方的に頑固に我を張ろうとすると和合しなくなります。

和は他には、「やわらぐ」という言い方をします。我を張らず、お互いが認め合い近づけばとても美しい均衡を保った状態に落ち着くものです。引き続き、古民家から学んだことを様々なつながりや絆に活かしていきたいと思います。