杜を守る

山の中には、人間によって開拓されていない場所がまだ残っているものです。それを原生林といいますが、むかしはその場所を神域と呼び伐採や狩猟も禁止していたともいわれます。

むかしは杜がすべてのいのちを守っていたということを自然から学んでいました。ある場所を守ることでその地域の生態系が豊かになりバランスが取れるのです。自然の仕組みを知るからこそ、守るべき場所もわかっていたのでしょう。

しかし時代を重ねるごとに、経済的な危機からそういうものを破壊して人工的な森にしていくことが増えていきました。狩猟や伐採、別の木々に植え替えをし巨樹なども失われていきました。

その結果、山は荒れ、聖域の持つ神秘的な雰囲気も失われレジャー施設のように遊戯場のようになっていきました。動物や昆虫たち、植生も変わってきて元の山の元氣はありません。

先日、古墳のことを深めているときに古墳は単なる墳墓ではなくその地域の生態系を守る役割があることを知りました。私の郷里も古墳だらけですが、今でも残る古墳には丘がありその下には貯めた池がありそこから湧水が湧いてきます。水トンボをはじめ、静かな池の周囲には豊かな杜が形成されています。

日本の古い神社仏閣も杜のようになっている場所が多くあることに気づきます。それはこれを破壊せずに守るようにとの先祖の教えが伝承されてきたものではないかと私は思うのです。

その場所は、守らなければならないという場所こそ私たちの根源があったところということでしょう。根源を守り続けることは、今の時代は大変な苦難を伴いますが子孫のためにも仲間と共に守るために変革していきたいと思います。