お山の食文化

昨日は、守静坊で山椒の葉を収穫し山椒味噌を拵えました。もともと山の暮らしの中で山椒はとても大切な役目を果たして来たように思います。

この時季は新芽が出てきます。その木の芽は冬の間に溜め込んだ毒素を排出したり、不安定な氣脈を調え、身体を整え、感覚を開き、場を清めてきました。

特に山椒の葉に含まれる代表的な成分は、サンショオールやリモネン、シトロネラールなどの芳香成分が有名です。あの独特の痺れる刺激と、青く透き通るような香りをかげばすぐに誰でも山椒とわかります。食べると身体の内側に熱が巡るように感じるのは、そのためです。昔から山椒が、冷えや胃腸の弱りに良いとされてきたのも、この刺激作用によるところが大きいとされました。また香りそのものも自律神経を整え、気分を軽くし、心身の緊張をゆるめたといいます。

また山椒の葉には抗菌・防腐作用もあり精油成分には細菌やカビの増殖を抑える力もあります。よくお山の信仰が息づいている場所で今でも山椒味噌やちりめん山椒などが古くから作られてきた背景にはお山の保存食として山伏たちが大切にしてきたという歴史もあります。

山伏たちは山へ入り、滝に打たれ、断食し、自然の中で身体と精神を鍛えます。の修行を支えたのが、味噌や山椒、木の実、山菜などの山の食でした。冬から春といった季節の変化に対して、季節のリズムを取り入れるのに食はとても大切な役割を果たしてきました。

お山の暮らしを甦生するのに、この食文化の伝承は避けては通れません。なくなってからでも新たに場を清め調えて甦生すれば文化は再編集できるのです。英彦山に根付くお山の食を一つ一つお手入れし甦生していきたいと思います。