ある人から古民家甦生をもっと商売でやったらいいとアドバイスされたことがあります。現在、どの古民家も評判がよく甦生してきましたがそもそもこれはただ建物を直しているのではありません。私が甦生しているのは、目的でありそのものの初心や理念です。建物は一緒に甦生しているだけのものです。
通常の商売で行う場合は、建築基準法をはじめ様々な法律やルールがあります。現代の日本建築は、どちらかといえば新築を建てるためのもので古民家などはリフォームしていますが実際にはあれも新築しているだけです。空き家がこれだけ増えてもなお、修繕よりも新しい場所に新築を建てます。古民家においても、新しい材料で新しいものにします。古民家風の建物がこの数年で増えては、私にも似たようなことをしてはどうかと勧められたりします。
そもそも古民家風のものは、古民家ではありません。こんなことを書いてしまうと、いろいろと批判的な方から何か言われそうなものですが実際には和風と和は異なります。例えば、よく話す話に和紙は楮やミツマタなどの原材料で手漉きで行います。和紙風はパルプや木材で機械で見た目だけ似せていきます。そこに伝統や伝承などはありませんし、意味も理由も異なります。本質が異なるのに和紙という言葉でひとくくりすることはできません。
私の古民家甦生もまた本質が異なるのに、他の古民家再生と同じにはできません。なので私は敢えて再生ではなく、甦生という言い方をします。
そもそも甦生というのは、そのものの素材や材料を日本文化で伝承調理して新たに寿命を延ばしていくことです。つまり今までの生をさらに別のものにして寿命を延ばすのです。つまり、生まれ変わる、新たにするということです。これは理念や初心をきちんろ磨き直して新しくすることに似ています。
つまり建物を新築にするという意味ではなく、そもそもの理念や初心を新たにしていくということ。そこに建物もその理念や初心に合わせて変わっていくということです。それが私の場づくりの本懐です。
なので、商売のように金銭だけでできる仕事ではなく思いや人伝えでしか受けることはできない一期一会の唯一無二の取り組みになります。
なんだか大げさに聴こえるかもしれませんが、本質的なことをやろうとすれば現代では色々な価値観やルールによってできないことがほとんどです。しかし不思議ですが、ちゃんとできるように何者か神様から導いてくださって今があります。
引き続き、丁寧に甦生してこの世でのお役目を果たしていきたいと思います。
