ブレない生き方~自己の理念経営~

人は理念や初心からブレることで、様々な問題が起きてきます。これは組織であれば組織がブレますし、個人であれば個人がブレます。自分が定めた生き方や優先順位が変わってしまうということは、何が大切なのかを忘れてしまっているということですから周囲から観れば何をやっているのだろうと思われるものです。

そもそも人は生きていれば、目先で起きる出来事によって忙しくなっていきます。忙しさというのは、心で決めた初心を失ってしまっている状態とも言えます。目先のことで追われていて視野が狭まりそれを処理するために日々を過ごしてしまうとそのうちその目先を処理するためだけに毎日を過ごしてしまうものです。そうやって過ごしてしまえば、重要なことを優先するよりも緊急のことばかりを処理することが優先されていくものです。

人生の優先順位がもしも緊急のことばかりでついていくならば、日々というのは浪費しその疲れも溜まっていきます。本来の重要なことが優先されてその実践を怠らずに順位が下がらないのならその日々は理想や理念、初心を忘れずに取り組めていますから疲れも程よく心地よい疲れを感じるものです。

人が理念からブレるというのは、初心(本来の人生目的)を忘れて生き方の優先順位を間違うことを言います。それぞれに人には価値観というものがあります。その人の価値観が優先順位を決めているといっても過言ではありません。しかしこの価値観というものは曲者で、今まで生きて来た人生観がその人の価値観を形成してしまいます。かつてどのように自分が生きてきたかが「生き方」ですから、その生きてきたままに自分が生きてしまいます。

しかしその生き方の癖が、もしも理念や理想と間違ってしまっていると気付いたならその生き方の癖を修正し、本物の習慣によって生き方を改めて上書きしていく必要があります。つまりは生き方の転換が必要になっていくのです。例えば、自利で生きてきた人が利他に生きると決めたとします。しかし実際は自利や我利ばかりに囚われてしまい利他で動くことが出来ないものです。それを何度も利他に向くように時間を設け、実践し、自分の心が変わらないように、自分の判断のモノサシがブレないようにと何度も何度も内省し修正していくことで生き方の癖が改善されていくのです。

人はもうこんな生き方はしたくないという反省が素直にできたなら、忘己利他(もう懲りた)と改心するキッカケにも出会えるかもしれません。しかしたとえそれで変わったにしても生き方の修正は一生涯の一大事ですから、実践を怠らず自らの精進を続けていかなければまたブレてしまうものです。ブレてもすぐに素直に直すことができればいいのですが、ブレていることに気づかないから余計に問題があるようにも思います。

昔のリーダーたちは、自分に耳障りのよくないことを忠言してくださる人を必ず身近に置いたと言います。そのことで自分の生き方のブレをチェックし、自らを素直に生長し精進していくための鏡にしたそうです。それはそれだけリーダーがブレると、周囲に大変な影響を与えてしまうことを自覚していたからなのでしょう。自分のことくらいや自分がなどと考えてしまうと、周りのことよりも自分のことで一杯いっぱいになってしまうものです。そうやって好き勝手にしてしまい自分の好きなことばかりやってしまうと確実に理念はブレてしまいます。

本来、本当に好きなのは、本当に大切にしたいと思った初心のことであったはずです。だからこそその本当の好きにどれだけ忠実であるかが自分を大切にしたことであり、その正直さが自分を信じて着いてきてくださった人たちを大切にしたことになるように私は思います。人はみんな自我や自利を超えた理念、つまりは大義に自分を使っていきたい、使ってもらいたいと願うものです。それがもしも個人的な欲望や我利我利に偏る価値観に従うのなら誰だって素直にやりたいとは思わないものです。

だからこそリーダーは、自分自身がブレていないかを常にチェックしていく必要があるように思います。理念というものは自分の心ですから、誤魔化しがききません。どれだけ自分の心に誠実であるか、正直であるかが「ブレない生き方」を実現していく鍵であるということなのでしょう。

生き方を換えるというのは、人生の一大事ですがその生き方が換わることによってはじめてその人の人生が大きく換わります。いつまでも換わらないのは生き方の方が問題だと気付くことが第一歩なのでしょう。生き方を換えていくための努力は、独立自尊、孤高の正対ですが常に理念を優先しているかを内省することで近づいていけるはずです。

仲間と一緒に歩んでいくのだから、周りを観ては自分を省みて実践を厳格に積み重ねていきたいと思います。周りの御力に少しでもなれるよう私自身も、克己復礼、精進をしていきたいと思います。