古民家甦生

現在、浮羽の古民家の矢切の漆喰の壁に伝統の左官職人により鏝絵をかいていただいています。この鏝絵は、日本最古の宝船図で有名な五条天満宮のものを参考に甦生したものです。宝船は、元々は「田から」から由来するともいわれます。その宝船の図は、船に稲穂があるだけです。現在の宝船は、豪華絢爛で七福神と宝物がたくさんあるもののイメージですが太古の絵は稲穂と舟だけ。だからこそ、なお一層、稲の価値が宝であると実感させてくれます。

また鏝絵というのは、単なる絵ではありません。鏝絵には五穀豊穣、家内安全、開運招福など庶民の素朴な思いが託されるといいます。つまり家の守り神になるように鏝絵に願いを籠めるのです。

むかしは、家が家人を守ることは当たり前でした。様々な厄災や魔ものも遠ざける存在とされていました。家は単なる生活をする場所というだけではなく、家は神社やお寺のように人々を守り導く大切な聖地でした。

だからこそ、その家が代々の子孫を守るように建てるのです。

私が取り組んでいる古民家甦生は、単に古い家を治すだけでもなく、古い材料を使うだけではなく、循環型の素材を活かすだけではなくこの子孫や代々を「守る場」として甦生していくのです。

よく設計図もなしによくやりますねと言われますが、そもそも家という存在を私は神様やご先祖様のように受け止めていて図面を書くのも憚られると感じているところもあります。一つのいのち、その丸ごとの存在としていつも心が離れないように一緒一体になって甦生のお手伝いをさせていただいているだけです。

だからこそ、家が甦生したら何よりも喜びになるしその家を守り守られることで心がいつまでも仕合せでいることができます。いつも神様やご先祖様という存在を身近に感じながら暮らしを営んでいくことができるものです。

私の古民家甦生は、職業でもなく商売にもならない理由はここにあります。もちろん、法律的にも図面を書かないというのは今の時代では許されません。なので、設計士さんにお願いしておおよその図面はきちんと書いてもらい建築申請もしていただいています。私はあくまでアドバイザーとして、現場に携わり棟梁と二人三脚で取り組んでいます。

私が行うのは、仕事ではなく生き方ですからどうしてもこの形になります。

家が喜ぶか、さらにもう一歩、学びを続けていきたいと思います。

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