人類の初心

徳積堂の十五夜祭の準備をしながら中秋の名月に向けてゆっくりと暮らしフルネスを調えています。お月さまを意識する暮らしをはじめてから御蔭様で、お陰様に氣づく感性が磨かれてきたように思います。

満ち欠けというのは、陰陽調和の真理です。

特に農耕をしていると、春に種を蒔き、夏には生い茂り、秋に実りそして冬に次のいのちの種になる。これは満ち欠けと陰陽調和そのものです。

そして秋というのは、実りの秋。

もっとも満ちている状態、調和の状態を直観できる場が醸成されていきます。

ふと耳を澄ませば、鈴虫やコオロギなどの穏やかな鳴き声。眼を凝らせば稲が月光で照らされ神々しい風景。肌を通る静かな風はうっすらと水氣があり心を和ませます。鼻からは乾燥した空気の薫りが侘び寂びを伝えてきて、芋や茄子など秋の味覚が磨かれ元氣が湧きます。夜のお月さまと共に全身の感覚が次第に鎮まってきます。

太古のむかしから人類は秋のみのりに家族が集まり感謝してお祝いしてきました。それが一家団欒です。日本全体、アジア全体、あるいは地球全体でそれぞれの民たちがこの中秋の名月には、安心と懐かしい未来、そしていつまでも平和が続いてほしいという祈りをしてきました。

つまりここに「人類の初心」があるのです。

私が中秋の名月を大切にし、また十五夜祭と十三夜祭をするのは初心に帰ることで暮らしを調えるからです。

なので静かにお月さまを待ちます。

心はお月様を観ては自己を照らします。

本年の実りと感謝を永遠に記憶に刻んでいきたいと思います。

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