遣るきる~克己~

人は自分自身が自分で活かすことができなければ周りを活かすことはできないように思います。これは人間だけに由らず自然界の仕組みでもあります。花は花として精一杯生きるからこそそこに蝶や蜂が飛来してきます。同じようにその虫たちも精一杯生きるからこそ自分も活かせ花も活かせ互いに活かし合いができます。

結局は、自分を遣りきっているということです。

自分を遣りきるというのは主体性であるということは、先日から書いています。自分自身が遣りきることなしに誰かから活かしてもらおうと待っていても自他を活かし合うことはできません。

まずは自分自身が自分の持ち場でどれだけ自分を遣りきるか、そこがお互い活かし合えるかの要になるとおもいます。

この「自分を遣りきる」というのは、言い換えれば「初心を忘れず目的のために精一杯生き切る」ということです。さらに言えば、どんな状況や環境化であったにせよ自分の目的を諦めずに精一杯自分自身が遣りきっているということです。環境のせいにして逃げたり、運命のせいにして言い訳をしたり、誰かのせいにして向き合わないとか、何もののせいにもしないというのが遣りきることです。この遣りきるというのは耐え忍ぶに似ています。自分に矢印を向けては、自分が目的を忘れていないだろうか、初心を忘れず実践しているかどうか、自分自身が自分の人生の優先順位を妥協して下げていないかどうかと常に自問内省して自分に打ち克ち続けるということです。

人はなぜ負けるのか、それは誰かとの比較ではなく自分自身から逃げるからです。自分自身の初心をやり遂げることは大変困難なことであり、自分の決めた人生を歩むと遣りきることは至難の業だからです。だからこそ、日々は自分と正対であり如何に己に打ち克ち初心を貫き耐え切るかはその人の実践と覚悟の質量に由ります。

自分を遣りきる人は、自分を信じることが出来ます。遣りきることがないから自信がなくなり自分を活かせないだけではなく周りをも活かせなくなるのです。自他を活かすというのは、まず自分が己に打ち克ってはじめてできることです。

自然界から遠ざかり、便利で効率よく、安易で快適な生活の中に埋没し、本来の目的すらも手放してしまったらそれはもう俗世への迎合であり、自分の目的も見失って迷い惑いの中で迷子になってしまいます。

自分の決めた道を、最期まで諦めずに歩むことは「自分を遣りきる」ことで実現します。場所が離れていようと、近くにいられなくても、同じ目的や同じ志を頼りに自分自身を自分の持ち場で最大限精一杯やりきっていくことこそが道に対して真の実直、真の誠実であろうと私は思います。

論語にある「克己復礼」は、自立と主体性の金言です。

道を開くのは自分、道を拓くのも自分、常に克己を主軸に仲間との絆を深めていきたいと思います。

  1. コメント

    ここまでやっていいのだろうかと、おっかなびっくりしているうちは本当には踏み込んでいないことを実感しています。ただ、そう思ったときどうなるかはわかりませんが、やってみようという気持ちが湧いてきます。できることをできる中でやっているのでは気づかないことがあるということに気づき、遣りきるとはそう言うことを意味していること感じます。頂いている機会やご縁、そしてタイミングを大事に出来ることはとにかく手を尽くしたいと思います。

  2. コメント

    戦うべきは「怠け心」と「恐怖心」、それに「慢心」です。悪魔の誘惑に「怠け心」を刺激されないように、悪魔の脅しに「恐怖心」を煽られないように、悪魔の囁きに「プライド」をくすぐられないようにしなければなりません。そのためには、その都度、負けないようにするのではなく、戦う前に、その「覚悟」が勝っていなければなりません。「自分に与えられた持ち場で、精一杯やり切ることが、一緒にがんばっていることになる」ということを励みに、日々「不動心」を鍛え、戦いたいと思います。

  3. コメント

    自分が出来ると勘違いするとは、応用の方ではなく基本の方のことだったのではないかと気づきました。「遣りきる」というのも改めて意味を確認してみれば、イメージが異なっていたことを感じます。本来、人が生きるとは誰もが「遣りきる」ことなのではないかと思いますが、そうならないのはこの命に対しても勿体なく思います。相互の関係だからこそ、自身の遣りきりを大事にしていきたいと思います。

  4. コメント

    毎日、何に時間を使ってやりきったのか振り返ると志に対してやり切る時は、清々しさよりも、何か積み重なる重みや深さ、道のりの豊かさを感じます。やりきった後の爽快感や快感だけが残ると内省を必要としてしまいます。軸足を何処に置いてやりきっているのか。忙しさに負けずに歩みたいと思います。

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