お山の再生

英彦山に現存する最古の宿坊、守静坊を甦生してから4年目に入ります。歴史のバトンを受け継ぎ、かつての修験道や山伏たちの暮らしを甦生してきましたがそこには常にお山のお手入れや活用を直観するものばかりでした。

宿坊周辺の倒木の片付け、落ち葉や枯れ木の剪定、側溝の掃除や壊れてくる石積みの修理、また谷の水路の補修や土づくりなど作業は膨大です。特にここ数年、短期間で大量の雨が降るため水の流れが変わり林道なども崩れてきています。人口が多い時は、まだ地域で協力していましたが高齢化と過疎でほとんど山中に人もおらず手入れが進みません。

コツコツと作務をしたり、遊行というお山を歩いて修行する機会や年中行事の集まりで仲間たちや法螺貝の講のみなさんにお手伝いいただき少しずつお山のお手入れをはじめだいぶ調ってきました。現在では、不老園という英彦山に伝承する有名な不老長寿の薬を満月の時に土鍋で煎じてお茶としてお渡ししたり、薬草園の畑でナルコユリなどの仙人の薬を育てたり、柚子の古木と鷹伝説に因んだ鷹の爪なども育て柚子胡椒をつくったりと場も調いはじめています。

そんな中、親しい仲間のご紹介で「大地の再生」の提唱者の矢野智徳さんとお会いするご縁をいただきました。聴福庵にご来庵いただき、特に螺旋や循環、お水や風の原理や思想に意気投合して具体的に再生のご指導いただくことになりました。

矢野智徳さんは、50年前、日光東照宮を観て世界にこのような素晴らしい場所はないと感動し、そこから「生命は流れによって育まれる」という考えのもと、水や空気、土中環境の流れを読み解き、自然本来の循環と回復力を引き出す「大地の再生」を提唱・実践する環境再生士になりました。

人が自然を支配したり作り変えたりするのではなく、自然が本来持つ力が十分に発揮される環境を整えることを大切にし、森や田畑、河川、庭、集落など全国各地で数多くの再生に取り組まれてきました。一般的な重機や大量の資材に頼るのではなく、人力でお手入れし、土地の声に耳を傾け、水脈や風の通り道を回復させることで、自然が自ら甦る環境を育む独自の場づくりで結果を出しておられます。現代ではその活動が映画化され、多くの農家や林業家、造園家、建築関係者、環境再生の実践者に大きな影響を与え続けておられる方です。

私自身も、徳が循環する場づくりに取り組んでいますから改めて「甦生」をお山から学び直せる機会になり大変心強く、また理論も後押しいただくことで仲間たちとも安心して継続実践を楽しんでいくことができるように思います。

今回は、英彦山でまず大地の再生の根源の思想に触れ、現地を調査しながら実地実践を共有するなどを仙人苦楽部として企画します。

日時は2026年8月11日、山の日です。

「甦生」や「再生」、「場づくり」や「循環」、生き方や智慧の伝承に興味のある仲間たちで集中して取り組んでみたいと思います。

よろしくお願いします。

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