治癒の根源 ~薬~

薬というのは、草冠に楽と書きます。これは植物によって楽になるという意味です。人類最初の薬は、薬草であったといいます。薬草が病気を治すというのは、人類の偉大な発見の一つです。

世界には30万種類以上の植物があるといいます。その1割が薬として利用できるともいいます。外を眺めれば、あらゆる植物は存在します。その中の10分の1が薬になると思うと有難い気持ちになります。

他にも薬は鉱物であったり微生物だったりもします。よく考えてみると、気候風土や食べ物が異なる環境の中で私たちはあらゆる変化に適応しつつも弱れば病気になります。

人間の身体も地球の成分でできています。この身体を維持するためには、同じ地球の成分をうまく活用することが一番です。

特に人間は土の化け物でもあります。土が造形したものを食べています。お野菜やお米、つまり植物は土が醸成したものです。発酵も土、ミミズなども土を食べて微生物を活性化させます。

よい土で育った植物たちの健康や効能は特に優れています。

現在、英彦山の守静坊で薬草園をつくり薬草の栽培をはじめましたが英彦山の土はとても清らかで、長年かけて降り積もった落ち葉による腐葉土からは強い鋭気を感じます。その調った場でこれから薬草を究めていくつもりです。

時代は、人工的な薬が増えて遺伝子ワクチンをはじめあらゆるものを改造していきます。そんな時、もっとも大切になるのは人類の原初の発見であり原点になるのは歴史が証明しています。

時代が変わっても流行に流されず、丁寧に真理を磨いていく。

薬祖とも呼ばれる中国の古代の皇帝で仙人でもあった神農は人々に農耕を教え、たくさんの植物をなめて薬効や毒性の有無を確かめ薬となる植物の効用を知らせたといいます。

淮南子によると、古代の人々はなんでも食べていて野草、水、木の実、貝類を食べているうちに次第に病気になったり毒に当ったりと多く苦しめられたといいます。だから神農は、民衆に五穀を栽培することを教え、適切な土地で農耕することを教え、あらゆる植物を吟味して民衆に食用と毒草の違い、飲用水の可否(医療)を教えたとあります。このとき多くの植物をたべたので神農は1日に70回も中毒したといい、最期は最後は断腸草という毒草をなめて亡くなったといわれます。

まさに自分の身を犠牲にして人々に、生きていくための方法を教えて諭した立派な人物です。その方が本草学をつくり今に至ります。

薬草というものは、ある意味で毒草ともいえます。私たちは酸素をはじめ毒を取り入れ中和してよりよく生きています。毒をもって毒を制す、つまり中和することを発明したのでしょう。

中和や調和はまさに治癒の根源です。

子どもたちのためにも色々と試行錯誤を味わっていきたいと思います。

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