此の世のかたちをなすものはすべては素材の集合体です。目に見えるあらゆるものは、解体していけば最後は土や粉のようなものになります。最初はどこからはじまったといえばこの地球では地面の土ということでしょう。そこからお水や光や火などが合わさり、岩になり川になり植物が誕生しという具合でかたちを形成していきます。

このかたちの形成には何通りかあって、自然に風土が形成していったもの。もう一つは人工的に形成したものなどがあります。他にも偶然に組み合わさったものもありますが、これも自然といえば自然にできたものです。

自然に形成されたものの中には、数億年、数十億年の歳月をコツコツと積み重ねてかたちになったものがあります。人工的なものではそこまでの時間をかけることはありません。そもそも人工的なものは、数十億年も使えるものをかたちにしようという発想がありません。

特に現代においては、定期的に壊れるようにしてはお金になるようにかたちにしています。本来、せめて数百年持つような家なども数十年で壊れるようにつくります。ものづくりもまた、すぐに新しい材料と組み合わせがでて変化していくので長持ちするよりも目先のスピードを重視してかたちをつくります。

私たちの肉体も同じく、本来は土からできたものです。そして土から取れたものを糧にして生きています。すべての存在は土に始まり、最期は土に還ります。つまりはこの土こそがかたちを形成するすべての基礎になっているということです。

近年では、その土を汚すような技術が増えています。土を汚したり水を汚してはかたちをつくります。これなどはまさに形成する前の素材そのものを汚染するという技術です。これによってかたちになったものがすぐに壊れたり汚染されて歪んだりします。つまりは、原初の土そのものを破壊するのです。

例えば日本刀の古刀などは現代の刀工では再現できないともいわれます。それは素材が異なるからではないかとも思います。その素材は、決して刀に使われる炭や砂鉄だけではなく、その関わる人間の身体もまたその時の土でできていますからかたちになるものもかわっていきます。だからこそ土こそがすべてのかたちの基本なのでしょう。

土さえ変わらなければ、かたちは変わりません。土をどれだけ大切に尊重していくか、人類は今まさに試されているということでしょう。

土を守り土を育てるというのは、土を汚さないということです。

田んぼの技術はまさにこのかたちをつくる智慧の結晶です。子どもたちに本物の土をつくって、かたちを譲り渡していきたいと思います。