知恵と教訓~初心伝承~

温故知新というものがあります。これは孔子が「故きを温ねて新しきを知らば、以て師と為るべし」と諭したところから由来しています。歴史を学びそれをよく内省し観察すれば本質を悟る。まさにそれを師とせよとも言っていいかもしれません。

歴史というものは、実体験、経験の集積です。なぜそうなったのか、そして今はどうなっているのか、この先はどうなるのか。この3つを分けずに全体で洞察する、それが事実というものです。

もちろん主観もありますが、事実だけを並べて本質をよくよく見つめるとそこには知恵が宿っているのがわかります。

知恵とは仏教では正しく物事を判断する能力であるといわれます。経営判断をはじめ、大切なものを伝承するとき、このプロセスを思い出し学び合うことは初心を確かめ有意義な時間になるものです。

しかし、この温故知新をする時間というのはなかなか設けないものです。情報量が多く、そしてスピードを重視するあまりそのプロセスを忘れてしまいます。そのうち、目先の部分最適に囚われ全体最適=バランスが取れなくなっていくものです。

特に経営判断をする大切な場面においては、判断基準がどうなっているのか、そして過去のパターンや教訓から足元をよく観て慎重に果敢に取り組んでいかなければなりません。

この温故知新というのは、人であれば自己が師になり、会社であれば会社が師になります。会社を師として正しく判断ができるようなればそれが経営者ということでしょう。

畢竟、経営者というのは単に社長や肩書をもっているからなっているのではなく判断がいつも知恵や教訓によって磨かれ学び続ける人たちということなのかもしれません。

全員経営という言葉もありますが、人類は本来は全員経営者です。日本という国もまた世界もまた同じように知恵と教訓が必要です。温故知新、初心伝承の刻を大切に過ごしていきたいと思います。