漆喰磨き

浮羽の古民家甦生中の竈を漆喰磨きで仕上げています。この漆喰磨きとは、通常の漆喰をさらに丁寧に磨き上げて光沢がでる仕上げ方です。この仕上げ方によって、水分をはじき、耐久性もあがり、独特の質感で場の雰囲気を一変させます。

以前、川越の古民家を研究するときに黒壁の漆喰磨きを拝見する機会がありました。あの江戸黒のもつうっとりする壁は今でも心に焼き付いています。

この漆喰磨きの歴史は古く、日本では奈良時代から平安時代にかけて寺社仏閣の建築に用いられていたといいます。当初は貴族や武家の住居、寺社仏閣など、格式の高い建築物に限られていましたが江戸時代になると土蔵造りの普及とともに一般にも広まったといいます。

この漆喰磨きは、文字通り「磨き」の作業があります。何千回、何万回と時間をかけて薄い漆喰を壊れないように破れないように丁寧に鏝で磨いていきます。実際に、飯塚の聴福案の白漆喰磨きのときは最後は素手で磨き上げていたのが印象的でした。

それくらい薄い塗りを何層にもかけて磨いていきますから、手先を通した精神が研ぎ澄まされていく作業を行うものです。だからこその美しさで、左官職人さんたちのすべてが注ぎ込まれていきます。

漆喰は法螺貝の制作でもよく使いますが、身近な暮らしの大切な素材として何千年も前から人類は重宝してきました。

時代が変わっても、この漆喰が暮らしに使われることは素晴らしいことです。子どもたちにも漆喰の魅力や、その真価、そして今でも大切な場所で重要な役割を果たしていることを伝統的な家の暮らしを通して伝承していきたいと思います。