稲魂

そろそろ稲刈りが近づいてきて、翌年の稲の準備もはじめていきます。この一年の結集としての稲を手で刈り、束ね、稲架に掛け、自然の風で乾燥させ、種籾も残します。

懐かしい稲との暮らしの時間を味わいます。

古代より、稲魂(いなだま)という言霊があります。これは稲に宿ると考えられた霊・穀霊です。稲の生命力を神格化した存在が宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)です。

この宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)は、日本神話に登場する食物・穀物の神で『古事記』では須佐之男命と神大市比売の子として登場し、のちに稲荷信仰を代表する神として日本全国各地で祀られます。いわゆる「お稲荷様」です。

この「うか」は食物や穀物に関係する言葉で「みたま」は神聖な霊や働きという意味です。稲に限らず食べ物を生み出し、人々の生命を養う力そのもののハタラキです。

種を播いても人間の力だけで稲はできません。数々の自然の恩恵、ハタラキを経てはじめて実ります。そのおハタラキそのものが宿っているというのが稲魂ということでしょう。

私たちの田んぼ「むかしの五穀田」の場は、氏神様は五穀神社があり見守っていただいています。太古のむかしから、五穀の霊性が宿る場として大切に食べ物を生産してきた場です。

その場を今も子孫のために甦生していこうとする試みが今の私たちの取り組みです。

宇迦之御魂神と共に、自然のおハタラキを祈り謙虚に学び、そのいのちの循環を次世代まで祈り続けようとする実践。それが五穀豊穣のいのりです。

「実るほど頭が下がる稲穂かな」

むかしの五穀田の稲刈りは10月10日土曜日、巳の日です。

一年間の数々のおハタラキに感謝する一日にしていきたいと思います。