変化への感謝

マンネリ化という言葉があります。辞書によれば「マンネリ化(まんねりか)とは、マンネリズムにおちいることの別の表現で、同じパターンや状況が繰り返され、新鮮さや刺激が失われることを指す言葉である。例えば、日々の生活や仕事、趣味などで、同じ行動や状況が続くと、人はマンネリ化を感じることがある。マンネリ化は、新たな刺激や変化を求める人間の心理から生じる現象である。」と書かれます。

さらにこのマンネリ化の語源を調べていくとこの「mannerism (マンネリズム)」は文学、芸術、演劇などにおいて型にはまった手法・様式・態度への強い固執といった意味だと出てきます。そしてこのマンネリズムの言葉は、イタリア語のmannerからあるとして、これは行儀や作法や礼儀などの意味になります。さらにマナーにあたるラテン語マネリウムmaneriumは、領主が所領を秩序よく統治するために使われた言葉です。

マンネリ化は、ルールや秩序において形式的なことにこだわるような意味から形骸化や形だけ、馴れあいなどの意味に使われています。人間というのは不思議ですが、なぜそれを創めたのかという最初の理由をすぐに忘れていきます。忘れないように習慣化したらまた習慣化したのちにその意味を忘れます。

新鮮なままで心の状態が保てるかといえば、感動したものがいつまでも持続しないように様々な感情を通して感じ方が変わってきます。この感動というものも、とても絶妙な組み合わせとタイミングで発生するものです。同じことを繰り返しても同じことはありませんから感動が薄れていくのです。感動は新鮮さと直結していて、時間が経てば関係性が変わっていくように鮮度が落ちておくのです。

この鮮度といった新鮮さは、変化のことです。変化というのは、言い換えれば忘れていくということです。忘れないようにするために私たちは色々な工夫をします。その一つが感謝ではないかとも思います。人は感謝するとき、改めて忘れていることがあるのではないかと思い出します。人は思い出すとき、そのものの意味や価値に気づき直します。

そうやって繰り返し鮮度を甦生していくのは、それだけ大切な初心のお手入れをしているからです。古民家の飴色になった暮らしの道具たちや、いぶし銀のような美しさを放つ道具たちもそうやってお手入れをし続けてきた先人たちの感動が宿っているからです。

失ってはじめてわかるのでは悲しく残念です。形式化しないように、当たり前にならないように変化に感謝していきたいと思います。

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