昨日は煤払いをしている最中に隣家の寺院の庫裏で使っていた階段箪笥を譲り受ける機会がありました。この階段箪笥は江戸時代頃から存在していて、狭い町家の中で利便性と機能性、そしてデザインや意匠に優れた伝統家具です。
現代の住宅事情の中ではあまり見かけなくなりましたが、むかしはとても重宝されたものです。飴色に変化して、見事な色を放つ木材は時代が変わっても色褪せることはありません。
むかしの家は狭い中で二階にいきましたからどの階段も急こう配になっています。現代は、西洋建築になり階段もゆとりがありますがむかしは2階にいくのも一苦労でした。梯子を使ったり、狭いところを天井の合間をぬったりと色々です。
二階は狭く暗いというイメージがあり、屋根裏部屋などもその一つです。しかし、この階段箪笥があるところは2階もしっかりしているところが多く、隅々まで工夫をしている町家大工の粋を感じるものです。
私はよくこの階段箪笥を活かすように工夫しますが、階段箪笥はお花を活けたり照明の当て方では大変美しく風情があります。
箪笥というものは、ただの収納ではなくそれぞれの家の大切なものを仕舞う場所です。階段箪笥を入れることで、その隙間のスペースが活き活きしますし階段を上り下りすることでその階段箪笥も喜んでいるような音がします。
人の役に立つ、あるいは全体のお役に立てる喜びというのは人も物も同じです。一緒に生きている家の中の仲間として、何らかのお役にたっていると感じられる相関関係の中に善い場は生まれます。
善い場を保つには、それぞれの持ち味を活かす工夫からはじまります。
丁寧に場を調え、新しい仲間を迎えていきたいと思います。
