鏡餅をそれぞれの古民家でお祀りしている最中ですが、ウラジロという植物を一緒に添えます。自然農の田んぼの近くの林の中に群生していて毎年この時期になると収穫しにいきます。
このウラジロの名前は葉の表が濃い緑色なのに対して裏が白いことから「裏白」となったといいます。シダ植物ですが、周囲にも似たシダはありますが裏が白くなっているのはウラジロだけです。このシダは「歯朶(しだ)」という呼び方もされ、歯を齢見立てて齢が延びる長寿や長命の縁起のよい植物です。他にも小葉が羊の歯に似ていることから「羊歯(しだ)」という呼び方もあります。
むかしから吉祥の植物で、ゆずり葉や橙と合わせて正月の新年を迎えるときの年神さまの依り代の鏡餅と共にずっと日本人に親しまれてきました。お餅つきは、みんなの力をあわせて収穫したお米を、蒸して杵と臼でついて固めて円くするという生き方の知恵の象徴でもあります。そこに、代々続くことや重ねることを伝承してきました。
ウラジロに話を戻すと、このウラジロは、「穂長」ともいわれ、槍の先のように見立てることで長寿の象徴ともなりました。また裏の白さで「心の潔白さ」と「白髪になるまで長生きする」長命の象徴ともなりました。さらにウラジロは先端から毎年新しい2枚の葉を付けることから途切れることなく子孫の繁栄が続くことの象徴ともなり、群がる生育の様子が先祖の霊魂が宿り繁栄していると信じられました。
戦国時代の徳川家康も「前立のウラジロ」といって、兜の前立に鉄で作ったウラジロがよく使われたといいます。それに葉柄の先端に葉が左右向き合って出るため夫婦和合、夫婦円満ともなり、その花ことばも「永遠の契」と深い愛を象ります。
身近なこのウラジロのことを知らない人も増えてきましたが、先人たちは植物の生き方から色々なことを学んでいました。しめ縄飾りにも必ずウラジロが入ってきますが、日本人の稲作や精神とは切っても切れない関係になっています。
今年も、元氣なウラジロを一緒にお祀りし心を添えていきたいと思います。
