ゆずり葉

この時季、鏡餅のゆずり葉を英彦山の守静坊のお庭に取りに行きます。この「ゆずり葉」というのは、常緑樹です。常緑樹でユズリハ属ユズリハ科に属します。

このゆずり葉の名前の由来は、春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することに由来します。古名ではユズルハ(弓弦葉)と書きます。葉の中にある主脈がはっきりと目立ち、まるで弓の弦のように見えることからその名がありました。

正月の鏡餅に添える理由は、ユズリハが年神の乗り物として用いられるからともいいます。自分たちの先祖が次々と代を譲って新しい命へ生を繋げていくように、春になるとユズリハの新葉が芽吹きあたかも古葉が代を受け継ぐように落葉する様子に後世の人々がそのユズリハの落ち葉に乗ってまたご先祖様は天上界へ昇ったと信じられてきました。また葉柄の赤い色が呪力をもち邪気を祓うと信じられたからです。

このゆずり葉には、有名な二つの詩があります。一つは、三好達治氏のもの。もう一つは、河井醉茗氏のものです。改めて二つの詩から「ゆずる」ということを感じてみると、

三好達治氏

「ゆずり葉」

子どもたちよ
子どもたちよ
ゆずり葉の木の下で

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河合醉茗氏

「ゆずり葉」

子どもたちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入り代わって古い葉が落ちてしまうのです。

こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずって――。

子供たちよ
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません。

かがやける大都会も
そっくりお前たちがゆずり受けるのです。
読みきれないほどの書物も
幸福なる子どもたちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど――。

世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを、
一生懸命に造っています。

今、お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に
気が付いてきます。

そしたら子どもたちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見るときが来るでしょう。

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どちらのゆずり葉も子どもたちに向けてのものです。私は、子どもに関わる志事に24年間取り組んできました。子ども第一義の理念を掲げ、子どもたちが憧れるような生き方や働き方をしようと理念に忠実に実践しました。

このゆずり葉の詩にあるような生き方や心にはとても胸に響くものがあります。シェル・シルヴァスタイン氏の本、大きな木~ザ ギビングツリー~という本があります。この心境もとても似ています。

与えて去っていくもの、与えられて受け継いでいくもの、伝承の歴史のうえに私たちのいのちは咲き続けています。

いつまでもその恩徳を忘れないように子どもたちの傍で見守っていきたいと思います。