晩秋の徳

毎年この澄み切った晩秋の月を観ていると暮れの秋を感じます。透明に澄んだ風景というのは終わりと始まりを感じさせるものです。晩秋というものは、これから冬に入る御報せでもあります。渡り鳥たちが移動をはじめ、虫の声も静かになってきます。初夏のあの賑やかで活気のある旺盛な頃を懐かしく感じます。もののあわれや侘びさびなどもこの晩秋になると身近に感じるものです。

私たちは季節の廻りと心情というのは結ばれています。四季のめぐりと一緒に歩んできた暮らしのなかでは、秋には秋の素晴らしさ、冬には冬の素晴らしさを観て徳を磨いていきました。

物事には表裏の関係があり、良し悪しもあります。悪いところを転じて善いものにしたり、善いものを転じてさらに好いものにしたりと、ご先祖様たちは自然の循環に逆らわずに受け入れて共に暮らしていける感謝と仕合せを感じていました。

晩秋と言えば、冬支度です。

先週から干し柿など保存食の準備をはじめたり、他にも種取りや障子の張替えをはじめたりと暮らしの中では冬の準備で目白押しです。お山での暮らし、町家での暮らし、農的な暮らしなど古民家がたくさんあるのでそれぞれに冬支度がはじまります。

今年は何かと新しいことも増え、浮羽の古民家甦生もあることで暮らしの時間を有意義に味わうように意識してきました。実際に感じるのは、毎年続けている年中行事やお手入れの御蔭様で心は穏やかに自然との調和を味わえているようで、暮らしフルネスの実践の御蔭様に有難く思います。

晩秋の光は百花繚乱にいのちが旅支度をする季節。

光をよく観て、枯れていき役割を交代していくさまざまないのちにいのりを籠めていきたいと思います。