商売というのは正直であるというのは日本的経営では原点とも言えます。正直の徳というのは、太古のむかしから私たちの生き方として遺伝子に組み込まれているものです。以前、若い時に海外で仕事をしていた時に正直であるということを全く大切にしていない文化の国がありました。当たり前に正直ではないことを誇らしく話している人たちもいて、商談になるといつも騙されていました。騙される方が悪いのだと、これはこの国ではそうしなければ生きてはいけないとも言われ嫌悪したことを覚えています。
その時は何度も反省をして騙されないようにしようとしましたが、結局は手練手管で騙す人たちはずっと上をいくものです。そういう生き物だと思ってその時は対応しましたが、その後もその国にいくと似たような体験を続けています。
結局、文化というものは生き方や道と結ばれているものです。
日本ではいつではその生き方や文化が醸成されてきたのか。有名なものの一つに、石田梅岩の「石門心学」があります。これは江戸中期に説かれた商人道という生き方ですこれは「学問の至極といふは、心を尽し性を知り、性を知れば天を知る」ということを中心に語られます。
私の解釈では、学問とは真心を盡して天からの徳を知るという徳を活かす道を得る生き方であるという意味を感じます。
そもそもすべてのこの世に循環するいのちは、天の徳をいただきそれを活かしながら共存共栄していくものです。天地自然の道理を學ぶために石田梅岩は、勤勉・倹約・正直などを用います。
これは自然に學ぶことと似ていて、そのどれもがこの世の道理そのものです。人間社会だけで自然を無視すれば、嘘や欺瞞、放蕩経営、楽して儲けるなどの発想、つまり徳ではなく得に偏っていくものです。
私たちの先祖たちは、道として生き方を伝承し商人道を通して日本という国を象っていきました。現代でも、その考え方は通用するどころか今は何よりも一番大切にしなければならない智慧だと私は感じます。
引き続き、徳を磨いて徳を積んでいくことで精進していきたいと思います。
